
休日の朝。ぽっかり予定が空いた午前中に「せっかくなら、どこか歴史ある場所へ行こう」と向かったのは、滋賀県彦根市にある佐和山城跡(さわやまじょうあと)でした。
石田三成公の居城として知られるこの山は、以前からじっくり登ってみたかった場所のひとつ。
ひこにゃんで有名な彦根城のすぐ東、まさに目と鼻の先にある歴史スポットです。
歴史入門者がガイド付きで登る山城の醍醐味とは?

佐和山(西側)の登山口にある龍潭寺(りょうたんじ)に立ち寄ったところ、「今から佐和山を登ります?よかったらご案内しましょうか?」と地元のボランティアガイドさんが声をかけてくださいました。
そのお誘いを快諾。ありがたすぎます。
過去の経験から、山城を登る際の歴史入門者は「山城は歴史ガイドなしではただの山になる。」と、魅力が激減することを身をもって知っていました。

プロの案内があると、道の石一つ、くぼ地一つに「意味」が見えてくるのです。
ガイドさんの話に耳を傾けながら、歴史の舞台に一歩ずつ近づいていく感覚は、山城歩きの醍醐味そのもの。
はじめての山城こそ、知識をもった人と歩くことで、その魅力が何倍にも広がるのです。
佐和山は登山初心者でも登れるの?

佐和山の標高は約233mと控えめです。
「麓からゆっくり登っても40分ほど」とガイドさんが教えてくれた通り、無理のないペースで登ることができます。
道は比較的に整備がされていますが、場所によっては足場の悪い箇所もあります。
この日は天候にも恵まれ、普段のスニーカーで軽い運動感覚の登山を楽しめましたが、登山靴(ハイキングシューズ)があれば、より安心して歩けそうです。
佐和山を登って見つける石田三成ゆかりの史跡めぐり

佐和山の登山口は、龍潭寺(りょうたんじ)からスタートします。ここは、彦根藩主・井伊家の菩提寺とされる由緒ある寺院です。
石田三成公の銅像

木々に囲まれた参道を進むと、間もなく石田三成の銅像が見えてきます。木の中にひっそりと座る姿は、登山のはじまりにふさわしい緊張感と期待を高めてくれます。
龍潭寺の山門

静かな境内には美しい庭園が広がり、山門をくぐれば、歴史ある佇まいとともに登山への入り口へと誘ってくれます。
切通し

切通しと呼ばれる人工的に削られた細道に差しかかります。この道はかつて「かもう坂通り往還」と呼ばれ、東山道(中山道)と琵琶湖岸の松原を繋ぐ重要なルートでした。
佐和山城跡の中でも見逃せないポイントのひとつですね。
西の丸跡・塩硝櫓跡(えんしょうやぐらあと)

登り進めていくと、西の丸跡や塩硝櫓(えんしょうやぐら)跡といった曲輪跡(くるわあと)が現れます。

いまは平坦な広場のように見えますが、周囲をよく見ると人工的に整地された土塁や切岸の跡が残っています。
本丸跡(本丸からの景色は絶景)

そしてクライマックスが近づくと現れるのが、本丸跡。

ここからの眺めは圧巻で、本丸から南側を見れば、彦根市街や琵琶湖、北側を見れば遠くに伊吹山まで見渡せます。

かつてこの景色を石田三成公も眺めていたのかと思うと、自然と背筋が伸びる思いです。

この景色の前にベンチでコーヒーが飲みたいな。

本丸から鳥居本(東側)へ少し降りたところには、こんなものが見られました。
隅石垣(すみいしがき)

関ヶ原の戦いで石田三成が敗れた後、佐和山城は廃城となります。
やがて井伊家によって彦根城の築城が始まると、佐和山城の石垣や建物の多くが資材として運ばれ、彦根城に活用されました。
現在の佐和山には、石垣の角部分である「隅石垣(すみいしがき)」が残されており、往時の山城の姿を今に伝えています。
※隅石(すみいし)とは、角にある石垣のこと。
千貫井(せんがんい)

さらに本丸から少し降りたところでは、千貫井(せんがんい)と呼ばれる井戸の跡も案内してもらいました。
山の上に水源があったという事実に、戦国時代の知恵と工夫を感じずにはいられません。
歴史と絶景を楽しむなら佐和山城跡
佐和山城跡は、石田三成公ゆかりの地でありながら、気軽に登れる絶好の歴史スポットでした。

彦根市街地に近いため、山の中では鳥の声に混じって車や電車の音が聞こえてきます。
中山道、北国街道とかつて交通の要所だったこの地が、現代でもなお交通の中心であることを実感させられました。
ガイドさんのおかげで、見えてくる景色や歴史の背景が何倍にも広がりました。
歴史の面白さと自然の豊かさ、そして石田三成公も眺めたであろう琵琶湖の絶景が楽しめる佐和山。
気軽なハイキング感覚で訪れることができる、おすすめの歴史散策スポットです。ぜひ一度訪れてみてください。
佐和山城跡

名称 | 佐和山城跡 |
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住所 | 滋賀県彦根市古沢町 |
アクセス | JR琵琶湖線「彦根駅」下車徒歩20分 名神高速道路「彦根IC」より車で約6分 |
駐車場 | 佐和山城跡観光案内詰所の前にあり |
佐和山城跡へのアクセス方法
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